民主党参議院議員

神本みえ子

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国会活動

5月10日 本会議;大学等修学支援法律案」反対討論をおこないました

2019年5月10日

5月10日(金)本会議にて、立憲民主党・民友会・希望の会を代表して「大学等における修学の支援に関する法律案」に対する反対討論
 
  神本美恵子君 立憲民主党・民友会・希望の会の神本美恵子です。
私は、会派を代表して、大学等における修学の支援に関する法律案につきまして、反対の立場から討論を行います。
冒頭、一昨日、散歩中の園児を巻き込んだ事故がありました。犠牲になられた方々には謹んで哀悼の意を申し上げると同時に、交通事故にかかわらず、特に子供たちの学びや生活の場においてどう安全、安心をつくり出していくのかは、社会全体、政治の緊急の課題であると痛感しているところであります。
 大型連休を前にした四月十八日の萩生田光一幹事長代行の消費税率引上げの延期とも取れる発言により、衆参同日選挙の可能性が取り沙汰されています。本法律案は、消費税率引上げによる増税分を財源としています。安倍総理は、二〇一七年の衆議院の解散理由を説明した記者会見において、消費税の使い道として高等教育無償化を言い出しました。そのための法律案が成立する前にこの発言であります。これは、安倍政権がどれほど真剣にはこの高等教育の無償化を考えていないか、そして明らかな選挙対策であるを露呈しているものであります。
 もちろん、消費税率引上げの延期については、経済状況を踏まえ、しっかりと議論していくべきことです。そうであればこそ、野党が要求している予算委員会をすぐにでも開くべきではないでしょうか。議員の三分の一の署名をもって正当に開会を要求した予算委員会を与党議員が欠席するなどという行為は、まさに恥ずべき行為であります。
 それでは、討論に入ります。
 本法律案の反対の理由の第一は、高等教育の無償化と銘打ちながら、無償化の理念であるべき全ての子供の学ぶ権利の保障としての教育の機会均等が明示されず、少子化対策、貧困対策にとどまっていることです。
 我が国は、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約、いわゆる社会権規約を批准しており、二〇一二年には保留していた高等教育の漸進的無償化を留保撤回し、高等教育を漸進的に無償化していく義務を負っています。日本国憲法や教育基本法には、誰もがひとしく教育を受ける権利が明記されています。この権利保障を無償化によって実現するというのが基本的な考え方であります。しかしながら、この法律案には、政府がどのように高等教育の無償化を達成していくのかという道筋が全く示されておりません。
 我が国は、戦後、新しい憲法と教育基本法の下、並々ならぬ努力の中で、全ての子供たちに、生まれ育つ地域や家計所得に関係なく学ぶ機会を保障するための義務教育九年間の無償化を実現し、二〇一〇年、民主党政権時には、後期中等教育三年間の実質無償化を実現いたしました。
 この法律案の目的が高等教育の無償化の導入であれば、その基本理念には、当然、教育の機会均等が入っていなければなりません。しかし、その代わりに、本法律案は、真に支援が必要な低所得世帯の者に対しと支援対象を限定し、さらに、社会で自立し、及び活躍することができると学生の進路を限定し、豊かな人間性を備えた創造的な人材を育成するために必要な質の高い教育を実施する大学等と大学等に要件を課しています。
 安倍総理は、施政演説の中で、真に必要な子供たちの高等教育も無償化すると明言しましたが、本法律案における支援対象は、低所得者世帯と極めて限定的です。にもかかわらず、安倍政権は高等教育の無償化を標榜し、あたかも高等教育が全て無償であるかのような表現で国民をミスリードし、さらには、その財源を消費税引上げに求め、消費税引上げを正当化する道具の一つにしようとしているのです。
 反対の第二の理由は、本法律案の審議を通じて最大の懸案となった、現行の大学等が中間所得層まで対象に行っている授業料減免への予算措置が、新制度の導入により縮小、後退するのではないかという点であります。
 高等教育の無償化を進めると言いながら、新制度の導入により、これまでに授業料減免を受けていた学生が新たに授業料負担を求められたり、これまで以上に授業料の負担が大きくなったりするならば、本法律案は無償化に逆行するものと言わざるを得ません。
 本法律案によって支援を受けられる学生等の対象範囲は、住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯の学生と限定されており、現行の制度で支援を受けている中間所得層までの在学生への支援継続のための具体的対応は明確に示されないまま、各大学の対応を見ながらこれから考えるという無責任な答弁に終始しました。さらに、消費税増税による大学の学費値上げの懸念、多くの世帯での教育費の負担増に対する対応も不明なままであります。
 反対の第三の理由は、支援対象とする大学等と学生に機関要件と成績要件を課していることであります。
 財政制度等審議会では、平成三十年度予算の編成等に関する建議の参考資料において、大学改革においては、大学教育・研究の成果を問うことで、大学と学生が、その成果である稼ぐ力を確実に得られる努力をし、好循環を実現することが重要と指摘した上で、経済的支援が好循環を阻害しないようにとくぎを刺しています。
 近年、安倍内閣は、文化やスポーツにまで産業政策の考えを持ち込み、稼ぐことを重視しています。本法律案においても、産業政策の下に教育政策を位置付け、企業で即戦力となる稼ぐ力を身に付けた学生の育成を強化するために機関要件を設けようとしているのではないでしょうか。
 大学教育を経済政策と同様に捉えるような考え方は、決して容認できるものではありません。教育は、稼ぐ力を向上させるための手段ではなく、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家、社会の形成者を育てるものであることは言うまでもなく、教育基本法にも明記されているのです。
 本法律案は、実務経験のある教員による授業科目の一割以上の配置、外部理事の複数配置など、教育課程や大学経営に関わる機関要件を規定しています。また、大学等に厳格な成績管理の実施、公表を求め、学生には、成績が相対評価で下位四分の一以下となった場合には支援を打ち切る仕組みになっています。
 このような大学等への機関要件、学生への成績要件から見えてくるのは、多額の修学支援を受けるのであれば、大学等は国が求める稼ぐ力を身に付ける教育をしなさい、学生は成績が悪ければ学び続けることはできませんよという無言の圧力であり、学生の選択の幅を狭め、学生の意欲をそぐものと言わざるを得ません。
 このような要件によって、教育機関が政府の都合の良い人材育成の場に変えられていくことを懸念せざるを得ません。文科省が決して口出しをすべきではないのです。
 また、本法律案は、支援対象である非課税世帯の子供の高等教育への進学率を四〇%から八〇%にすると想定し、その予算を七千六百億円としていますが、全く根拠が不明であります。貧困対策としても、進学率を上げることのみを目標にすることで教育の機会均等を保障していることになるのかどうかについても疑問を持たざるを得ません。
 改めて申し上げます。
 高等教育の無償化とは、まずは高過ぎる授業料を引き下げ、希望する全ての子供の高等教育の機会を保障することであると考えます。国公私立大学の授業料は、三十年前と比較すると一・七倍にもなっております。その背景にあるのは、他の先進諸国と比較しても高等教育段階における公的負担割合が低いままに抑えられていることにあると指摘しなければなりません。まずは、この公的負担割合を上げるべきです。
 本法律案によって、安倍総理が喧伝する高等教育の無償化とは、真の無償化とは全く懸け離れた偽看板であるということが明らかになりました。
 立憲民主党・民友会・希望の会は、憲法で保障する学ぶ権利、教育基本法で規定する教育の機会均等、そして大学自治の尊重を基本とした高等教育の漸進的無償化に向けて全力で取り組むことをお誓いし、討論を終わります。(拍手)