民主党参議院議員

神本みえ子

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国会活動

12月14日 参議院本会議: 「カジノ解禁法案」に対する反対討論

2016年12月15日

「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」反対討論

2016年12月14日

民進党・新緑風会 神本美恵子

民進党・新緑風会の神本美恵子です。私は、民進党・新緑風会を代表して、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案について、反対の立場から討論を行います。

まず始めに、今回のこのIR・カジノ解禁推進法案の拙速な審議に対し、立法府としての重大な懸念を表明いたします。依然として国民の多くが憂慮し、参議院の審議を通じてますます不安が高まっている問題だらけの法案の成立をなぜこんなに急ぐのか、参議院での参考人質疑も含めた審議で新たに明らかになった問題点、本当に経済効果があるのか、地域振興というが、地域が疲弊し治安の悪化や青少年への影響から人口減少が起きている事例、そして何よりも各会派からギャンブル依存症が拡大することへの懸念などが出されたにもかかわらず、答弁のほとんどが「それは実施法で政府が考える」という、おざなりな審議で不十分と言わざるを得ないものでした。とにかく成立させてしまおうというやり方は、立法府に集う者として大いに恥ずべきところであり、国民の負託を受けている立法府としての責任を果たせないままになっていくのではないかという懸念を持たざるを得ません。

また、議員立法である本法案の取り扱いについても懸念があります。本来、議員立法は事前に各党間で議論を交わし、丁寧に合意形成を図るからこそ、短時間の委員会審議で成立にこぎ着けうるのです。それを今回のように、与野党での合意も十分に形成しないまま、延長された国会に滑り込み提出、審議入りし、衆議院での委員会での審査もそこそこに一気に強行突破するようなやり方は、合意形成と手続きを重んじてきたこの立法府のあり方を軽んじるものに他なりません。ましてやここ参議院は、いうまでもなく皆様、ご自覚の通り、中長期的な視野を持ち、本当に国民の幸せにつながるのか、子どもたち、次の世代が生きる社会がどのようなものになるのか、幅広くそしてじっくりと考えて結論を出す、「熟考の府」であり、衆議院の拙速を戒めるべき役割を自らの存在意義としてきたのであります。数の力を背景に、合意形成と手続きを軽んじて採決にひた走る姿は、先人たちが築いてきた参議院の歴史とあり方に自ら泥を塗るようなものであり、とうてい容認できるものではありません。

次に、法案の問題点について申し上げます。

本法案は安倍政権の成長戦略にも位置付けられ、民間投資を喚起する経済効果への期待が喧伝されています。

安倍首相は「日本を世界一企業が活動しやすい国にする」として、一昨年のダボス会議において「自分は岩盤規制を打ち破るドリルの刃になる・いかなる既得権益も私のドリルからは無傷ではいられない」と発言。委員会での参考人の一人は、「アベノミクスにおけるカジノ構想とは、刑法で禁止してきた賭博罪という「規制」を解除して、海外からカジノ資本を呼び込み、民間の賭博場を作り、経済を活性化させようとするものである」と指摘しています。

また、本法案は、IR整備の推進にかかるプログラム法と言われるように、具体的なことは法施行後一年以内に政府が実施法を作るとされ、国民が不安に思っていること、民営賭博の解禁、カジノ解禁による負の影響、マネーロンダリング対策、ギャンブル依存症対策などなど、「それは政府が検討します」「これから考えます」と、まさに「丸投げ法案」以外の何物でもなく、不十分な審議時間ばかりでなく立法府の責任を果たしたとは言えない状況であります。さらに、発議者の中には真摯に議論に向き合っているのか疑問を持たざるを得ない人もいました。

日本で初めて民営賭博を認めようというのであれば、刑法において賭博を違法としていることとの整合性が問われることは当然であります。しかしながら、刑法第百八十五条の賭博罪は、偶然の勝負、勝ち負けに関し財物の得喪を争うことにより成立するものであるが、カジノがIRという特定複合観光施設区域の中にあれば、賭博罪に当たらない。なぜなら、IR施設が公共性など八つの要件を満たしているからだというのはおかしな話です。

そして、ギャンブル依存症の問題です。参考人として発言をされた、新里宏二弁護は、ギャンブルで借金をつくり、仕事を失い、家族を失い、果ては自分の命まで失うという、そういう人の悲劇を前提とした経済対策など、基本的人権が保障され、幸福追求する権利を認められている日本の憲法の下では背理であるとまでおっしゃいました。カジノにはギャンブル依存症のリスクが付きまといます。

日本のギャンブル障害の有病率は、厚労省助成の研究班による2013年調査で、4.8%、国内の有病率は536万人と発表されています。この有病率は、欧米が1%未満、アジアでも1-2%にとどまっているのに、日本のギャンブル障害有病率が異常に高いのは、日本のギャンブル促進政策が関与していると、ギャンブル依存症問題研究会の代表である精神科の帚木医師は指摘されています。また、日本ではほとんど行われていない青少年への予防教育の必要性も指摘されています。私も予防教育は大切だと考えます。しかし、カジノを解禁して、さあこれまで予防教育をしていなかったので、力を入れてやりましょう、といって、青少年にどれだけ説得力を持つでしょうか。また、最近カジノのディーラー学校が流行っているとの報道もありましたが、ギャンブルに付随する影の部分や危険性を教育しながら新しい雇用としてディーラーの道があるというのも矛盾するように感じます。参考人の一人は、「カジノがもたらす否定的側面は学説もなく、議論も成熟していない」とされています。

現に、松野博一文部科学大臣は、定例記者会見で、IR法案が衆議院で通過しようとしている12月6日、カジノが解禁になった場合に、青少年に対する影響をどう考えるのかと聞かれて、「青少年に対する影響の分析を、詳細に行っているわけではありません」と堂々とお答えになっているのです。実施法の策定を委ねられるはずの大臣にそのご準備がないとしか言いようがありません。これからの日本の社会を担う青少年への影響は、何も考えられていないという、それでカジノを解禁するなど、断じて許すことはできません。

また、ギャンブル依存症は、必ず家族を巻き添えにします。政府が、「一億総活躍」の少子化対策として、今、自治体や企業に予算をつけて婚活(結婚支援事業)をさせようとしています。これは、セクハラ、パワハラ、プライバシーや人権侵害の恐れがありますが、そうまでして、女性たちに産ませ、増やそうとしている子どもたちは、家族にギャンブル依存症の人がいれば、様々な困難を抱えて成長していくことにもなりかねません。

これまでほとんど語られることがありませんでしたが、カジノ施設ができ、性産業が拡大する懸念があります。かつて、日本の温泉地などには、たいてい歓楽街がありました。しかし、歓楽街のない、安心してひとりでも、または友人や家族と一緒に楽しめるような日本の温泉街をつくりだそうと日本各地でさまざまな工夫と努力を重ね、今や、世界中から観光客が訪れるようになった温泉地、観光地もあります。そのようなところに、カジノをともなったIR施設をつくることになれば、どうなるでしょうか。マカオでもシンガポールでもカジノをバックにして性産業が発展しました。マカオ行きの切符を販売する旅行者の前には、風俗系のポスターが壁いっぱいに張られ、若い女性のセミヌード写真に書かれているのは「フェリー往復切符・ホテル・食事・女性」込みのパックツアー料金だそうです。売買春だけではない、性暴力を起こさせないためのコストをかけてまでカジノをつくる意味があるのでしょうか。

最後に、カジノ解禁とは、日本社会が、モラルある経済への道を捨てて、金儲けを何よりも優先する社会へと歩を進め、変貌していくことに他ならないと考えます。良識ある、そして未来への責任を果たすべく努力されているすべての参議院のみなさん、ここで、一旦立ち止まりましょう。本法案は廃案とし、人々が、家族が、ギャンブル依存症におびえることなく、安心して暮らしていくためにギャンブル依存症対策をこそ議論すべきであることを申し上げ、反対討論といたします。